ほしの、おうじさま
何気に視線を巡らせた私は思わずドキリとする。

その中に、昨日の入社式で出会ったあのギザギザ頭の感じの悪い彼の姿を発見したからだ。

彼も東京本部勤務であったか…。

でもまぁ、あの時私の後ろを歩いていたという事は席が近くだったという事で、そして式の座席は勤務地ごとに分けられていたのだから、こうして再会を果たしたとしても別に何ら不思議な事ではないんだけど。

さりげなく動向を窺っていると、彼は一列目の一番右端に座った。

という事は、五十音の中で早い方の名前の持ち主である事を示している。

そう考えた所で、遅ればせながらネームプレートと一緒に机上に置いてあった、ホチキス止めされている書類に意識が向き、さっそく表紙を捲ってみた。

すると一ページ目にホワイトボードに貼られていたものと同じ座席表が綴られていた。

これから長きに渡って付き合いが続いて行くかもしれぬ同期達の名前を速やかに覚えられるように、という配慮なのだろう。

名前の下に括弧書きで所属部署も明記されていた。

それによると、一番前の右端に腰掛けた彼の名は「阿久津大」というらしい。

読みはあくつまさる。

ふりがなもきちんと振られている。

それならば、名前順でトップバッターになるのは納得だ。

おそらく学生時代も出席番号はほぼ一番だったのではなかろうかと思う。
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