ほしの、おうじさま
「相川」君とか「青柳」君とかがいれば別だけど。
「あ」行の人あるあるというかお約束で、学生時代に出会った彼ら彼女らはたいてい自分がその名字に生まれついてしまった不運を嘆いていた。
何故なら授業や行事等で、一番最初にあれやこれややらされる確率が断然高いから。
何もサンプルがない状態で先陣を切って教師からの指令をクリアしなければならないのだから確かに気の毒だと思う。
彼…阿久津君も、今までの人生そういう数々のプレッシャーと戦って来たのかもしれない。
そう考えると幾分溜飲が下がり、昨日の件もチャラにしてやろうじゃないかという寛大な気持ちになれた。
何しろこれから社会人としての苦楽を共にして行く仲間だもんね。
当たり障りなく、仲良く接していこう。
ついでに彼の配属先も確認してみると、「宣伝部宣伝課」となっていた。
つまり担当業務は違うけど、私と同じ部所属であるという事だ。
各部署がビル内にどのように配置されているのか現段階では分からないけれど、彼と同フロア内で就業する確率はかなり高い。
どうせなら星野君とそうなりたかったものだ。
胸中でため息をつき、そこで私はハッとした。

そうそう、星野君。
阿久津君のことなんかより、彼に対して思いを馳せるべきだった。
確か星野君は「企画開発部企画課」だったよね。
そう考えながら、紙の上の彼の席へと視線を移動させる。
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