ほしの、おうじさま
するとそこで、明らかにベテランで役職者、という雰囲気の男性社員がそう挨拶を繰り出しながら入室して来た。
彼女と話している間にどうやら時間になったらしい。
皆、男性が前方に向かって歩を進める姿を目で追いながら「おはようございます」と返していたので私もそれに倣った。

「全員揃ったようなので始めたいと思います」

ホワイトボードの前に立った男性がそう宣言したのを受け、皆姿勢を正しながら椅子に座り直す。
もちろん私と野崎さんも。
彼女との会話を打ち切る事ができて、私は内心とてもホッとしていた。

だって……。

「総務課長の陣内です。研修期間中一番顔を合わせる事になると思いますので、よろしくお願いいたします」

「お願いいたします」

「じゃあ、まずは肝心要の辞令を受け取りに行きましょうか。社長室まで移動しますので、この座席の順に、廊下に一列に並んで下さい」

課長の言葉に私達は一斉に立ち上がり、指示通り廊下へと出て並んだ。
先頭に立って歩き出した彼に続き、階段を使って一階上の重役室フロアまで移動する。
社長室に入室し、そこで星野君を除く全員が一人一人辞令を受け取った。
本部配属になった新入社員は男性11名女性9名の計20名。
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