ほしの、おうじさま
「あ、そう。私は良いや。『誰かとお手々繋いで仲良くトイレ』とかやらない人だから」

野崎さんは自分の鞄からペットボトルを取り出しつつ言葉を発する。

「飲み物もまだあるし。行ってらっしゃい」

「うん、行って来ます」

言いながら、私はそそくさとその場を去った。
廊下に出てから思わずため息。

……やっぱり私レベルがこの会社に採用されたのはびっくり人事で、たいていの人はああいう経緯だったと判断するみたいだな。
私自身もそう思っていたもん。
ただ、他人が当事者に向かって、しかもあんなに意気揚々と指摘する事ではないよね…。
だけど野崎さんは躊躇なく言えちゃうんだなぁ。
そこで私はしみじみと思った。
やっぱり、ファーストコンタクトでの自分の直感に間違いはなかった。

私、あの人苦手だ。

というか、ああいう、「サバサバ系」で「姉御肌」で「竹を割った性格」で、「思った事をズバズバ口にしちゃうけどその分裏表がなくて非常にさっぱりとしている性格」であると自ら主張するタイプの人。
どこのコミュニティにも必ず一定数混じっていて、大抵の人は「ホント〇〇ちゃんて付き合いやすいよねー」とその自己評価に賛同し、何ら問題なく楽しく和気藹々と接しているのだけど、何故だか私はそういう人とはすこぶる相性が悪く…。
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