ほしの、おうじさま
「そうかもねー。あ、とりあえず場所移動しようか」
向井さんは私がハンカチをポケットに戻したタイミングでそう提案して来た。
後からここを使用するであろう人達への配慮だろう。
化粧室から廊下へと出て数歩進み、通行人の邪魔にならない位置で立ち止まり、話を再開した。
「試験が二次三次って進む過程でも、もしかしたら顔を合わせてたかもしれないけど、お互いに気付かなかったね」
「うん。どんどん緊張度が増して行ってたし、それに、控え室とか廊下とかにさりげなく社員さんがスタンバイしてて、あちこちキョロキョロしたり、周囲の人に気軽に話しかけたりできるような雰囲気ではなかったもんね」
「うんうん。それに、自分で言うのもなんだけど私ら就活生ってホント個性がないからさ。同じようなリクルートスーツに身を包み、黒髪で、短い人はたいていストレートのボブ、長い人はゴムで一つにまとめてて。はっきり言って皆同じように見えるんだよね。だから個人を識別するのは正直至難の技」
「まだ学生なのにブランド物なんか身に着けてたら嫌味だし可愛げがないからって、スーツや小物はあえて量販店の無難な価格帯のやつを選ぶように先生や親にアドバイスされたし」
「そうそう。だから余計に金太郎飴みたいにそっくりさんが量産される訳だよね」
向井さんの言葉に私は思わずクスッとしながら頷いた。
向井さんは私がハンカチをポケットに戻したタイミングでそう提案して来た。
後からここを使用するであろう人達への配慮だろう。
化粧室から廊下へと出て数歩進み、通行人の邪魔にならない位置で立ち止まり、話を再開した。
「試験が二次三次って進む過程でも、もしかしたら顔を合わせてたかもしれないけど、お互いに気付かなかったね」
「うん。どんどん緊張度が増して行ってたし、それに、控え室とか廊下とかにさりげなく社員さんがスタンバイしてて、あちこちキョロキョロしたり、周囲の人に気軽に話しかけたりできるような雰囲気ではなかったもんね」
「うんうん。それに、自分で言うのもなんだけど私ら就活生ってホント個性がないからさ。同じようなリクルートスーツに身を包み、黒髪で、短い人はたいていストレートのボブ、長い人はゴムで一つにまとめてて。はっきり言って皆同じように見えるんだよね。だから個人を識別するのは正直至難の技」
「まだ学生なのにブランド物なんか身に着けてたら嫌味だし可愛げがないからって、スーツや小物はあえて量販店の無難な価格帯のやつを選ぶように先生や親にアドバイスされたし」
「そうそう。だから余計に金太郎飴みたいにそっくりさんが量産される訳だよね」
向井さんの言葉に私は思わずクスッとしながら頷いた。