ほしの、おうじさま
「え?DVD?」

「はい。30分くらいなんですが、ドラマ仕立てになっているので退屈はしないと思いますよ。準備をしますので少々お待ちを」

前の方に座る男子が思わず、という感じで発した問いかけに答えながら、課長は宣言通り動き出した。
「へぇ~」「面白そう」などという声があちらこちらで控え目に湧き起こる。
こうして、とても丁寧で生真面目である事が窺えるけれどどこか飄々としている、進行役の陣内課長の人柄を反映しているかのように、とてもナチュラルにユルッとした感じで新入社員研修がスタートしたのであった。

DVD鑑賞後、課長が雑談混じりの補足をしているうちにあと数十分でお昼という頃合いになった所で、その時間を利用して更衣室に荷物を置きに行く事になった。

「すでに配ってあるロッカー用のネームプレートを忘れずに。筆記用具と、お昼をここで食べる人はお弁当はそのまま残しておいた方が良いでしょう。その他の荷物については自己判断で。準備が整った人から廊下に出て並んで下さい」

課長の指示に従い、私達は一斉に部屋に残していく物、持っていく物の選別をし始める。
私は水筒と、手作りのお弁当が入っているトートバッグの中に、化粧ポーチ、ハンカチ、小銭入れ等を移し替えてから通勤鞄を手に取り立ち上がった。

「では行きましょうか」
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