ほしの、おうじさま
全員が揃った所でそう宣言しつつ歩き出した課長の後に続き、私達は再び階段を使って一つ下の階まで降りて、フロアの北側の最奥へと向かった。


「男性はこちら、女性はそちらになります」


二つの部屋のちょうど中間地点で立ち止まった課長はそれぞれのドアを右手で示しつつ、私達に向けて説明を始める。


「それではまず、ロッカーの鍵を配布したいと思います。ええと…。ネームプレートの裏に数字が書いてありますよね。一人一人、私に向けてその数字を言っていってもらえますか?同じ番号の札が付いた鍵をお渡ししますので」


指示通り、列の先頭の人から順に課長に番号を告げ、鍵を受け取って行った。


「全員行き渡りましたね。それでは、ロッカー本体のネームプレートを差し込む場所に、それと同じ番号の紙が挟まれていますので、中に入り、自分に宛がわれている物を探し出して下さい」

「すみません課長」


するとそこで私の数人前に並んでいた野崎さんが、右手を挙げつつ質問を繰り出した。


「全社員、この階の更衣室を使っているんですか?」

「はい。重役の部屋にはそれぞれ更衣スペースがありますが、その他の社員は皆ここです」

「という事は、室内にはかなりの数のロッカーがあるって事ですよね。見つけ出すのに少し時間がかかってしまうかも…」

「ああ、それは大丈夫ですよ。ロッカーは入口入ってすぐ左手に設置してある物から順に1番2番…と並んでいますから」


野崎さんの主張に、課長は穏やかに返答した。

「それに、使用されているロッカーにはすでにネームプレートが差し込まれていますからね。端から歩いて見て行けば、さほど手間はかからないと思います」

「あ、そうなんですね。それなら安心しました」
< 46 / 241 >

この作品をシェア

pagetop