ほしの、おうじさま
案の定というべきか、おしゃべりの中心人物は野崎さんであった。
朝のうちにコンビニで仕入れて来たと思われるサンドイッチを頬張りつつ言葉を繋いでいる。

「移動と店に入って席に案内されるまでと、注文して料理が運ばれるまでの時間が必要になる訳じゃない?移動はまぁだいたい予想がつくとして、後者は日によってどうなるか分からないし。一時間しか猶予がないのに忙しないにも程があるよねー」

「言えてる。そういう観点から言うと私、社食もちょっと微妙なんだよね」

そこで加藤さんが話を引き継いだ。

「ビル内とはいってもやっぱり多少は時間のロスになるし、「空いてる所に適当に腰かけて良い」とは言われても、もしかしたら古株社員の指定席が確立されちゃってるかもしれないしさ。そりゃ、総務課長は立場的にも年齢的にも自由気ままに動けるだろうけど」

「そうそう。その点、やっぱ男子は図太いよね。それらの問題点を何ら気にする事なく、研修初日から外食や社食に行けるんだもん。まぁ、食べるのが速いってのもあるだろうけど。女子にはなかなかハードルが高いよ」

「つくづく女って面倒くさいなーと思うよ。先人が築き上げた細かい『暗黙の了解』を短期間で察知して実行に移さなくちゃいけないんだもん」

別の子の意見にウンウンと強く頷きつつ野崎さんは持論を展開した。
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