ほしの、おうじさま
サンドイッチを食べ終え、デザートタイムに突入したらしい野崎さんはヨーグルトのフタをペリペリと剥がしつつ言葉を繋いだ。

「周りの先輩女子社員の動向を見てからどうするか決めようかなと。もし外食や社食に誘われたらそこは素直に応じておくつもり。せっかく声をかけてくれたのに断ったりしたら角が立つからね。もちろん、周りもお弁当派だったらそのままそれを食べるし」

「だよね。それに、先輩が一緒なら場所取りで悩む必要はないし」

「外食する場合の時間の調整もお手のものだろうしね。私もそうしようっと」

そんな風な結論が出た所でその話は終わり、野崎さんが提供した新たな話題へと移って行った。

「ちょっと失礼…」

しかし私はお弁当箱を片付け、ハンカチと歯磨きセットを手に取るとそう呟きつつ立ち上がった。

「あ、歯みがき?」

正面に座っていた子に問い掛けられる。

「うん」

「私も後で行こうっと」

「行ってらっしゃーい」

数人の子が発した見送りの声に頷いて応え、私は会議室を出ると化粧室へと向かった。
午後の始業時間までまだ30分近くあるからか、はたまた会議室フロアだからなのか室内はガラ空きだった。
ひとまず研修期間中はこの時間にここに来れば、窮屈な中で歯磨きするのは避けられるという事だ。
残りの日も同じタイミングで行動する事にしよう。
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