ほしの、おうじさま
内心ホッと胸を撫で下ろす。
過去に出会って来たサバサバさん同様野崎さんも、イマイチ会話が盛り上がらない私に積極的に話しかけるのは面倒になったのだろう。
普通は落ち込む場面なのかもしれないけれど、私にとっては願ったり叶ったりだった。
このまま最終日まであまり接する事なく、無事にスケジュールを消化できますようにと心底願ったのだった。
しかしリア充さんというものは、どんなタイプの人とも分け隔てなく話さないと(周りからそういう気さくな性格だと評価されないと)気が済まないようで、完全無視という訳ではなくて、その後も挨拶はもちろんのこと、用がある時には突如陽気にフレンドリーにこちらに話を振って来たりした。
戸惑いつつも、その都度必死に明るく無難に答えを返す私であった。
昼食時は必ず女子全員が揃い、別に私が反応しなくても誰かが野崎さんの話に食いついてくれていたのでとても楽チンだった。
そして私は私で隣の向井さんや周辺の子とちょこちょこ会話を交わしつつ、マイペースに食事をしていた。
そんなこんなで研修期間は順調に、スルスルと過ぎ去って行ったのであった。

「今年って結構な『当たり年』なんじゃないかな?星野君を筆頭に、男子新入社員はなかなかのイケメン揃いだし」

研修も当日を入れて残り3日となった日の昼食時、野崎さんがそんな風に発言した。
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