ほしの、おうじさま
星野央路と星七織はやはり出会うべくして出会った二人だったんだ。
それぞれの名前は二人の運命を示唆していたんだ。
だから自分の思い人をピンチから救うべく、私にはこんな摩訶不思議な能力が備わったんじゃなかろうか。
いや、本来ならば王子様側がヒロインを守ってくれるものなんだけど。
そこはやっぱり残念なエピソードには事欠かない私らしい立ち位置というか、定番の、オーソドックスな、ただただ優雅に構えていてひたすら庇護されるだけのお姫様になる事は許されないのだろう。
でもまぁ女性側が殿方を守る為に奮闘するというイレギュラーなおとぎ話があったって、別に良いじゃないかと思う。

「なんだそりゃ」

すると阿久津君は心底呆れたような表情と声音で言葉を吐き捨てた。

「なんで俺がそんな極悪人扱いされなくちゃいけねーんだよ。つーか、これくらいの嫉妬心、人間なら誰しも持ってるだろ?『なんでアイツばっかり』『アイツさえいなければ』ってさ。お前にだってそういう感情、一切ないとは言わせないからな」

「う。そ、それは…」

「そんでついつい心の中で毒を吐き出しちまうだけで、実際にどうこうするつもりは微塵もねぇよ。そんなんしたら自分で自分の首を締めるじゃねーか。せっかくここまで努力して来たってのに、人生詰んじまう」

「……ほんとに?」

「ああ」
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