ほしの、おうじさま
「で、でも、見かけはバリバリ体育会系のくせに、心の奥底ではそんなネチネチした感情を抱いているなんて…」
「あぁ?体育会系がなんだって?」

「え?違うの?てっきり何かスポーツをやってるかと思ってたんだけど…」

「……まぁ確かに、幼少期からずっと続けてるものはあるけど」

「何を?」

「空手。実家の近所の道場に通ってて、中、高、大では学校内の部活にも入ってた」

「思いっきり見かけ通りじゃない!」

私はすかさずツッコミを入れた。
初対面の時の推察ドンピシャじゃないか。
そういう方面でも遺憾なくエスパーっぷりを発揮してしまい、我ながら末恐ろしい。

「そうじゃなくて、体育会系に何を夢見てんだか知らねーけど、『忍耐強くて公明正大』だとか、『快活で爽やかな好青年』ばっかりだと思ってるんだとしたら勘違いも甚だしいぞ。中には結構えげつない奴もいるんだから」

阿久津君は饒舌に解説を始めた。

「「上下関係を重んじろ」っていう事を激しく主張する奴の中には「だから後輩にはやりたい放題」っていう理論があったりするから。実際に、高校と大学の部活の同級生の中には「今まで上からやられてきた事を下にやり返すチャンス!」「これからは俺達の時代だ!」なんて事を堂々と口にして、必要のない無駄なしごきをしたり、酒の席で一気飲みを強要するようなバカな輩もチラホラいたしな」
< 88 / 241 >

この作品をシェア

pagetop