放課後、ずっと君のそばで。


ドーと、高い音を長く吹いて、滑らかに唇だけで音程を変えていく。


低く吹いて、そして、少しずつ高音にしていって。


次は、舌を使って細かくタンギング。


タタタタタタ。

タカタカタカタカ。

タタカタタカタタカ。


私の苦手な分野だ。


演奏中、タンギングがなかなかうまく出来なくて、何度も先生に怒られた。


私よりも、後輩の板野さんの方が数倍もうまいんだから、もっとショックが大きい。


私は、立花くんの基礎練の音を聞きながら、美術室をあとにした。


ドアをピシャリと閉めると、立花くんのキレのあるタンギングも、ピシャリと潰れる。


私は音楽準備室の前で立ち止まったけど、そのまま非常階段のドアに足を向けた。


やっぱり、練習する気になれない。





< 32 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop