GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
なのに私は、あの冷たい家に帰るしかないんだ。

仕方がないって分かってる。

だって私には……何もないもの。

胸にどす黒い塊が詰まったような感覚がして、息が苦しい。

「誰か……助けて」

「助けてあげるよ」

つい口を突いて出た私の言葉に、誰かが返事を返した。

……え?

いや、気のせいだろうか。

だって、雪野一臣の家を飛び出して一目散に大通りに出たけど、行き交う人々は私を気にも止めてない。

一体どこから声がしたんだろう。

私は思わず立ち止まって辺りを見回したけど、声の主がどこにいるのか見つけられなかった。
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