GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
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「あのあのあの藍ちゃん!!」

『あのあのあの』にギョッとして振り向くと、血走った眼をした瀬里が真後ろに立っていた。

……場所は学食の前。

「……なに?」

抑揚のない声で私が返事をすると、瀬里は異様に大きな声を出した。

「あの、今日暇?!暇なら前に言ってた画のモデルになってくれない?!」

あー……。

そういえばそんな話をしてたっけ。

……今日は……律は用事があるって言ってたし、予定もないし……まあいいか。

「いいけど」

「ほんと?!やったあ!」

「声がでかい……」

「ご、ごめんっ……あの、あまりにも嬉しくて」

照れ臭そうに笑った瀬里が本当に嬉しそうで、私は驚いて眼を見張った。
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