幼馴染はどこまでも俺様過保護
あの人だって、そう。私の母の事なんて忘れてあんな女と再婚して、私を捨てた。じゃ、今あの人は幸せかと言えば、そうじゃ無い。
3ヶ月前、フリマに出掛けようと支度をしていた時、チャイムがなった。日曜のこんな早くから誰だとドアを開ければ、何年も会っていない、昔、私の父親だった人。
「出掛けるのか?」
「そう…」
今更何!?
私は顔を見ず返事だけをした。
その人は「そうか…じゃ…」と言って背を向け帰っていこうとした。その背中は私の知ってる大きな背中ではなく、小さくてとても寂しそうだった。私は思わず声を掛けていた。
「お茶くらい…飲んで行ったら」
思わず引き止めたが、何を喋ったらいいのか分からず、私は顔を背けたまま居た。
「蒼海、元気そうだな?」
「…お陰様で…」
「また、作ってるのか?」
その人はテーブルの上で蓋の開いたプラスチックケースを見て聞いた。中には今からフリマに出す予定のアクセサリーが入っていた。私は見ないでと言わんばかりに、慌てて蓋を閉めた。
「高校生の頃よく作ってたな?」
よく言うわ!あの頃、私に感心なんて無かったくせに!
この人は若い妻と跡取りの和也が居ればそれだけで幸せだと思って居たひと。私が高校生の時アクセサリーを作っていた事なんて本当は知らない筈。きっと、桜小路のおば様にでも聞いたのだろう。
「仕事頑張ってる様だな?」
「………」
「何か困ってる事はないか?父さんに出来る事が有れば」
「…イマサラ…今更、父親面しないで!!私には父親なんて居ないから!!私の親は死んだママだけ!!」
「蒼海…」
「私、出掛けるから…帰ってくれないかな!?」
すまないと言って、その人は帰って行った。
どうして今頃会いに来るのよ…
私は会いたくなかった。
あんたの事なんて思い出したくもなかった!
捨てたなら、一生放っといてくれればいいのに…
結局その日はフリマに出掛けず、一日家でボーとしていた。