幼馴染はどこまでも俺様過保護

隼翔のお父さんの再婚と同じ頃、私の父も若い女と再婚した。しかし、隼翔のお義母さんとは違って私の義母は父の前では優しい顔をするが、私にはとても冷たく目さえ合わせようとしなかった。そして父と義母の間に男の子が生まれると優しかった父も跡継ぎが出来たと喜びその子を可愛がり、次第に父と私の距離が広がっていった。

高校に入る頃には食事を一緒に食べていても会話も無く、私はそれまで以上に父と距離を置くようになった。食事は時間をずらしひとりで食べ、家族とは全く顔を合わせる事が無くなった。

もう私の居場所はこの家には無い。私は高校を卒業すると家を出てひとり暮らしを始めた。家賃は父が出してくれたが大学は奨学金を貰いその他の生活費はバイトをしてなんとか生活をしていた。

大学を卒業すると隼翔のお父さんが『うちの会社で働かないか?』と声を掛けてくれて雇って貰うことになった。それからは家賃も自分で払い、一銭も父に助けて貰うことは無かった。

隼翔が結婚したらもう他人の私が兄の様に甘える事は出来ない。隼翔も私を妹の様に可愛がってくれる事も無くなるだろう。

この助手席に座れるのもいつ迄かな…

「もうデザインは出来上がってるのか?」

窓の外を見ていると不意に投げ掛けられた隼翔の問いに、私は視線を窓の外に向けたまま、まだと答えた。

「まだって…」

隼翔は私の返事に呟き大きな溜息を付いた。





< 6 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop