ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「あきくん、わたしね……」
軽蔑されるだろうか。いや、今はそういう心配より自分が泣き出さないか、そっちの方が心配だった。
「あきくんと出会う前に既婚者の人と関係を持ってたの。彼氏……だと当時は思ってたけど、今思うとそうじゃないなって思う。だから彼氏らしい彼氏はしばらくいないって言ったの」
アノ人と──タクヤさんと出会ったのは前の職場のスーパーだった。
彼は精肉部門の主任でわたしの直属の上司だった。仕事ができる人でわたしは同じ部門の誰よりも尊敬していた。他の社員に注意されるとイラッとすることはあったけど、彼に言われることはすごく的を得ていて素直に聞いてしまう、そんな感じだった。
彼が既婚者だということは最初から知っていた。だからタクヤさんを好きになるなんて当時のわたし想像もしてなかった。
上司と部下ということで連絡先は知っていたけど、それはあくまで仕事に関する連絡をするためだった。
入社して半年経ったころ、タクヤさんが他の店舗のヘルプに行ってるときによく連絡が来るようになった。
過程はハッキリと覚えてない。それから仕事時間帯外に初めて2人で会った。その日のうちにホテルに行った。