ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


言葉が途切れ、彼は少し息を吸った。そしてスッと短く息を吐いた。唇がゆっくりと開く。

「離婚することになったんだ」

さっきまで見せていた柔らかい表情から一変して、真っ直ぐにわたしの視線に絡めてくる。

──離婚?

え、もしかして、わたしのことがバレて?いやでもバレる前に別れたはず。でも、わたしと別れて数ヶ月で離婚が決まるってことはやっぱりわたしが原因──?

「タクヤさん、ごめんなさい」

ずっとずっと離婚して早くわたしのところに来てくれることを願ってた。願いながら会ってた、身体を重ねてた、追いかけてた。

あの時、あんなに願っていたことが現実になっている。だけど、その現実は今のわたしには重い。何故別れを選んだというのに彼の家庭は壊れてしまったの?

傷ついたわたしに更に罪悪感をぶつけるの?確かに不倫は悪いこと。でも、わたしは充分ボロボロだというのに。

やっぱり今日、来るんじゃなかった。

右手で耳の近くの髪の毛をクシャリと握った。手が顔に近づいたからか、ハンドクリームの香りがする。


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