ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


あきくんが持っているコーラにコツンと自分の缶をぶつける。

「バイトお疲れ様」

「あゆさんもお疲れ様です」

わたしは何もやってないけどね。

ビールを喉に通す。やっぱりビールは美味しい。買ってきた柿ピーを開ける。

「ねぇ、あきくん」

「何ですか」

「わたしに敬語遣わなくていいよ」

年下の敬語って個人的には可愛くて好きなだけど、一緒に住んでるのに敬語を遣われたらなんか少し気を遣うというか。

頭の後ろに手を置いて考える表情をしているあきくん。少し間を開けた後、ニコッといつもの笑顔でわたしを見る。

「ここに一緒に来てくれてありがとう。桜綺麗だね、あゆさん」

自分から言っといて、砕けた話し方に少し違和感がある。でも、きっと、数日したらすぐ慣れる。

「いいえ、こちらこそ連れて来てくれてありがとう。桜なんて久しぶりに見たよ」

両方の手のひらで擦る。冷え症だから少しこうして冷えるところにいたらすぐ氷のように冷たくなる。

3月だから大丈夫だと思ってたけど、夜はまだダメか。


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