ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


『……そっか。分かった、楽しんで来てね』

"そっか"までの少しの間が気になった。いつも急に予定が入った時に電話してもすぐに"いいよ"と言ってくれるのに。

「ごめん、あきくん、怒った……?」

『ううん、大丈夫。ごめん、ちょっと考え事してただけだから!気にしないで行っておいで』

いつもの明るい声。笑顔のあきくんが脳裏に浮かぶ。

あきくんの明るい声を聞いて、さっきまで胸の中で少しモヤモヤしていたものが無くなった。

「ありがとう。行ってくるね。ご飯食べてて良いからね」

『うん、気を付けていってらっしゃい』

通話終了ボタンを押した。カバンの中からメイクポーチを取り出し、チークやアイシャドウをつける。更衣室の中でササッとメイクをする。

時々更衣室に入ってくる人に"お疲れ様です"と言って準備を進める。

正直、前よりカオルやヒデキさんと会うのが楽しみじゃなくなっている。前は恋愛ごっこ感覚で会っていたのに。今は義務感じゃないけど、誘われるから行くっていう感じだ。


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