再会は、健康診断で。

やっと仕事を終えてから家に帰って、汗だくな身体をなんとかするためにシャワーを浴びる。


それから息を整えて、意を決してかえに電話をかけた。


『もしもし』


ドキドキしながらコールの音を聞いていた俺は、聞こえてきたかえのかわいい声に更に心拍数が跳ね上がる。


「もしもし、かえ? 」


ドクドク鳴ってる心臓の音を聞きながら、俺はぐっと唇を噛んでから口を開く。


「かえ……あの、さ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」


自分でもびっくりするくらい、不安そうな声になってしまったことに自分でびっくりする。どんだけ不安なんだよ俺。自分で自分のことが情けなくてたまらなくなる。


『なに? どうしたの?』


情けない俺の声が伝わったのか、かえが心配そうな声でそう聞いてくれる。


その声にちょっとだけ勇気が出て、口を開こうとした俺の耳になんだか焦ったようなかえの声が聞こえた。


『ひ、平根……ちょっと後でかけ直……』


携帯から変な雑音が聞こえて、俺は顔をしかめた。かえ、どこか外にいるんだろうか。もう会社にいる時間ではないはずだ。


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