再会は、健康診断で。
募る想い

1


『ねえ、かえ。まだダメなの?』


平根と想いをたしかめあってから一週間、毎日のように電話でそう聞かれているけど、私はいまだに平根に会うことが出来ないでいる。


『俺、来週から準夜勤になっちゃうから。なかなか電話も出来なくなっちゃうんだけどな』


平根の棘のある言葉に眉を下げる。申し訳ないとは思いつつも、時が経てば経つほどに会って想いを伝えることが恥ずかしくなってきてしまった。


想いを伝えたあのときに勢いで会っておくべきだったと思うけど、後悔しても仕方がない。


『かえは、俺に会いたくないの?』


平根の悲しそうな声を聞くと、胸が痛くなる。会いたくないわけではない。好きだからもちろん会いたい。


面と向かって好きと言うことも恥ずかしいし、きっと平根はキス以上のことを求めてくるだろう。お互いの気持ちが同じってなったら、平根はきっと遠慮しないと思う。


だって平根は待てが出来ない、まさにしつけのなっていない犬だから。今までは我慢してくれてたけど、平根の性格を考えるともう我慢する必要もないってなるよね。


「……会いたいよ」


それは本当だから、平根に悲しい顔をさせたいわけではないから正直に伝える。


< 157 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop