再会は、健康診断で。

『じゃあ、会いに行ってもいい? 俺、早くかえと彼氏彼女になりたいんだけど』


お互いの気持ちは分かっていても、平根的に直接伝え合わないと彼氏彼女とはいえないらしい。


私だって会いたいし、顔も見たい。平根には申し訳ないけどもうちょっとだけ心の準備をする時間が欲しい。


「来週……会うから。もうちょっとだけ待って」


往生際の悪い私に、平根がため息をつく。うう、ちょっと心苦しいけど、未知の領域すぎて怖いんだもん。


『わかった、来週ね。絶対だからね。じゃあ、待つからさ……俺のこと名前で呼んでみて』


「な、名前?」


突然の平根の発言に私は戸惑う。


『うん、もうすぐ彼氏になるし。名前で呼んで? かえに名前で呼んでほしい』


そういえば私のことを名前で呼ぶようになった時も、名前で呼んでほしそうだったな。


「……わ、航」


平根に申し訳ない気持ちがあるから、せめてそれくらいはと名前を呼んでみる。これ、意外と恥ずかしい。なんか照れる。


よかった、電話で。私、多分顔が真っ赤だ。


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