再会は、健康診断で。

「無茶言わないでよ。歩ちゃん、本当に年々俺の扱いがひどくなるな」


苦笑いしている結城さんと別れて、俺は腹囲のカーテンの中に入る。


「すみません、腹囲お願いしま……す」


カーテンの中にいた看護師さんに声をかけて、目が合った。慌てたように背を向けたその人を見て、俺は目を見開く。


う、そ……だろう。見間違いじゃないよな?


確実に目が合ったアーモンド形の綺麗な瞳に、柔らかそうな唇。アップにした髪から覗く綺麗なうなじ。


「西……川、だよな」


たしかめるようにそう口にするけど、西川は俺に背を向けて俺の方を見てくれない。


本当に西川なんだって。夢じゃなくて、本当に俺の前にいることをちゃんと確認したくて、細い肩を掴んで少し強引に俺のほうに向かせる。


不安げに眉を寄せたアーモンド形の瞳と目が合って、ああ、本当に西川だと実感する。


「本当に西川だ。やばい、本当に会えないかもと思ってたから……すごいうれしい」


また会えたことがうれしくて、俺は西川に微笑んだ。


もっと感じたい。本当に西川なんだって、ここにいるってちゃんと実感したい。


そう思った俺は、戸惑った顔のまま固まっている西川の身体を引き寄せて抱きしめた。

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