再会は、健康診断で。
「……その反応は、好きな男はいるのかな? まさか、西川さんも健診先のお客さん?」
「い、や……小学校からの同級生で……」
だから、なんで私こんなこと言っているんだろう。平根のことなんか、好きなわけないのに。
自分の言動に混乱している私に、黒崎さんは眉を寄せる。
「そうなんだ。でも付き合っているわけじゃないなら、まだチャンスはあるかな。俺、結構あきらめの悪いほうなんだよね」
ニコッと微笑む黒崎さんは、なんだか余裕があってすごく自信に満ち溢れているように見える。
私、こういう人が理想だったはずなんだよな。年上で落ち着いてて優しくて、包容力がある感じの人。黒崎さんは私の理想にぴったりだ。
なのに、なんで平根のことが頭から離れないんだろう。なんで、黒崎さんには全然ドキドキしないんだろう。
自分がわからなくて混乱しながら食べたホットサンドは、全然味が分からなかった。
「西川さん、携帯の番号教えてくれない?」
お昼ご飯を食べ終えてカフェを出ると黒崎さんが私に黒い携帯を見せてくる。
断ったんだけど結局奢ってもらっちゃったし、職場の人だからどうにも断りにくい。