再会は、健康診断で。

「平根が意地悪ばっかりしてたからじゃない」


「いや、そうなんだけどさ。だから耐性がないの。かわいいだろうと思ってたけど、やっぱり超かわいい」


か、かわいいって。やっぱり平根、全然性格が違う気がする。私が見えていなかっただけで、これが本来の平根なんだろうか。


「あれ、なんか雲行き怪しくない? 雨降ってきそう」


平根の言葉に空を見上げると、たしかに空が暗くなってきている。天気予報でも夕立がくるようなことを言っていた気がする。


「西川、電車? 電車なら俺、車だから送ってくよ」


平根がベンチから立ち上がってそう言ってくれるけど、そんなの申し訳ない。


「え、いいよ。悪いもん」


「そういう優しいところも好きだけど、まだ全然話せてないじゃん。俺、もうちょっと西川と一緒にいたい」


平根の直球、ストレートな言葉にぐっと言葉に詰まる。私だって平根と一緒にいるのが嫌なわけじゃないけど。


迷っていると、ポツリと顔に水滴が落ちてくる。空を見上げた瞬間、いきなりすごい勢いで雨が降ってきた。


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