再会は、健康診断で。
「ダメ?」
ハンドルを抱えるようにして上目使いで私を見た平根は、濡れているのもあって捨てられた子犬のようだ。
なんかこれを断るとか、すごく罪悪感を感じるんだけど。
「……わかった」
うなずくと平根の顔がパッと明るくなる。
「本当? やった、じゃあ行こう」
う、なんかパタパタ揺れるしっぽの幻覚が見えるんだけど。平根って本当はこういう奴だったのかな。
ニコニコしている平根の茶色い髪から、ポタポタと水滴が垂れているのを見てハッとする。
「待って、平根もちょっと拭いたほうがいいよ」
バッグからハンカチを出して、平根の顔とか髪を拭いていると、私を見つめていた平根がふっと笑う。
「西川は、前もそうやって雨に濡れた俺のことを拭いてくれたんだよな。そういうところが本当に好き」
そういえばそうだったかもと思っていると、平根の唇が私の唇に触れる。
あまりにも自然なその行動に先に驚いたのは平根のほうで、びっくりしたように身体を引いて窓ガラスに後頭部をぶつけてる。