元カレバンドDX
「………………」

あたしは何も言えなかった。

 ここまで来たら、もう断る方がおかしいのだけれど、あたしにはためらう理由があった。

「あたし、したことないんだ……」

 今日が“初めてのキス記念日”のあたしが、Hなどしたことがないのは当然だった。

 あたしは、スバルの反応が怖くてうつむいたまま黙った。

 今どき、この歳で処女なんて、ひくんじゃないだろうか。

 もしくは、面倒くさいと思われるんじゃないだろうか。

 あたしはびくびくしながら、スバルの言葉を待った。

 しかし、スバルの口から出たのは、胸がときめくような言葉だった。

「そうなんだ。なんかおれ、嬉しいな……」

 とっさに上を向くあたしに、スバルは熱いキスをした。

 1分……2分……3分……

 そろそろ息が苦しくなる頃だった。

「じゃあ、優しくするから……ね?」
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