最期の時間を君と共に
なぜか焦ってしまう。ゆずきちゃん……いや、ゆずきは、キョトンとしてから、お母さんのような心を優しく包み込む笑顔に変わった。

「じゃあ、また話そっか。おはよう、ユキナちゃん」

まだ話していたかったのに。彼女が離れてしまう。彼女がまた遠い人に……不安が押し寄せてくる。

「……おはよ、遥。ゆずきちゃんと友達になったの?」

「えっ、あ、うん。ついさっきね」

「ふぅん……」

ユキナの目は一重にしては、大きいほうだと思う。その目で私を勘ぐってから、ニッコリ笑った。

「どう?ゆずきちゃん」

「いい子だよ、大人っぽかった」

「そっかぁ……」

そこで私たちの会話は途切れた。
< 142 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop