最期の時間を君と共に


「……あ、あれ?」

ゆずきと友達になって1週間ほど経過した。今は朝休み。ついさっきまで、彼女と共に外に出て遊んでいた。教室に帰ってきて違和感を感じた。私の机に置いていた筆箱がなくなっているのだ。もしかしたら、無意識に机の中に入れたのかもしれない、そう思って探してみるが、見当たらない。ランドセルの中にもない。サァー……と、血の気が引き、自分の顔が青くなっていくのが良くわかる。

「どうしたの、遥」

「あー……、筆箱忘れちゃって」

盗られた可能性が1番高いが、今はまだ黙っておこう。ゆずきはそんなことか、と笑って、鉛筆やら消しゴムを十分なくらい貸してくれた。

「ありがとう」

「いいえ。もう、もっと早くに言ってよねー?」
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