最期の時間を君と共に
「あ、……見当はついてるの……。というか、絶対そう」

「誰?」

真っ直ぐに私の目を見つめる彼女が、少し怖く感じた。絞り出したような声で、ユキナ、と言った。聞こえただろうか。

「えっ……、本当に?」

あんなに一緒にいたのに、と驚いているのだろう。私はコクリ、頷いた。ユキナ以外に、盗りそうな人が出てこないから、間違いない。

「……わかった。間違ってた、とかやめてよ?」

「多分……、いや、絶対あってるよ」

彼女は、ユキナの前に立った。予想外だったのか、ユキナは目を丸く開き、口はポッカリあいている。

「ねぇ、ユキナちゃん?遥の物ないんだけど、知らない?」

いつもより、1オクターブほど低い声。クラスの皆が、何事だとチラチラ見ている。
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