最期の時間を君と共に
「……遥、ごめん、ごめんね……っ」

「わ、分かってくれたならいいからっ。そんな泣かないで」

泣かないで、と言われたら、泣いてしまう。笑ったらダメだよってゲームをよくするが、そう言われると普段笑わない人だって笑いがこみ上げてくるもの。人間は言われたことと、反対のことをしてしまう。不思議なものだ。


「はぁー……」

帰り道、ゆずきは大きなため息を吐く。相当緊張していたようで、さっきからこればかりだ。

「言いすぎたかなぁ?」

「そんなことないんじゃない?私、ゆずきかっこいいと思ったもん」

途端、ゆずきの顔が輝いた。嘘がつけない人なんだなぁとすぐに分かる。
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