最期の時間を君と共に
でも、知らないって言ってしまえば、さっき死ぬほど頑張ってついてきたんだこいつ、とか見下されるかもしれないので、うんともすんとも言わず、ただ無言で次にくる言葉を待つ。

「まぁ、いいわ。座りましょ」

そこまで興味がなかったようだ。私は半人分空けて三柳さんの隣に座った。

「もう、話しづらいわねぇ。そんな敵対視しないでくれる?」

「だって怖いもん」

「幼馴染でしょ?あなたの幼馴染の誓くんが私を振ったの。私は新しい彼がいるんだから」

いるからといって、誓を好きにならないわけじゃない。そんなんだったらとっくに浮気という言葉がない。

「そう言ったら、この世に浮気なんて言葉ないと思うけど」

強気で言い返すと、三柳さんは吹き出して笑った。

「そう言われたらそうね。私も浮気するかもだね」

否定するかと思えば、肯定されてしまう。
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