最期の時間を君と共に
『ゆずきのオムライス楽しみ』

憎たらしいくらいの満面の笑みを浮かべたのだ。その笑顔を見て、私はやらなくちゃいけないんだと心に火を燃やし、なんとか作り終えた。出来上がりは散々で、ぼろぼろ。お母さんが食べると考えると、かなり申し訳なかった。でも、お母さんは食べてくれた。頑張ったね、と褒めてくれた。あの言葉がなければ、きっと私は今も下手くそなまま育っていただろうな……。やっぱり、お母さんはお母さんだ。私を上手く操作している。

――ピーンポーン

誓だ。

『誓?入って入って。今、手が離せなくて』

『わかった。入るな』

玄関まで行きたいけれど、今はそんなに手が離せないのだ。インターホンをきって、またキッチンに戻る。
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