最期の時間を君と共に
「声かけてみる?」

「あぁ、気になるしな」

脱走する子なんて本当にいるんだ、と変に感心しながら彼に近づく。

「おい」

「……え」

誓は普段友達に声をかけるかのように、砕けた口調で声をかけた。男の子は肩を震わせ、目を見開いた。あまりにも適当な声かけをした誓の服の裾を引っ張る。

「なにしてんだ、お前」

「ちょっと、誓。もっと優しく聞きなよ……」

私は小声で誓に伝える。多分、目の前にいる彼にも聞こえていると思う。

「誰ですか?見知らぬ人に教えなきゃいけないんですか?」

その通りだ。男の子は警戒心むき出しで誓を見る。誓は面倒くさそうに舌打ちをした。なんでこうも火花が散っているのかなぁ……。
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