君の隣で花が散る
もう戻ったほうがいいかな。


「ちょっとちょっちょっとそこのお嬢ちゃんっ!」


女の人の大きな声が聞こえる。

新手の宣伝かな。

騒がしいな。


「ちょっとーっ無視しないでよー!」


誰に言っているのかな?

声のする方を振り返る。


「わっ」


振り返ってみると、声の主はすぐ目の前にいた。


「近っ!え、あ、私?!」


私に話しかけているの?

どうやらそうらしい。


「あなた、身の回りの災難にみまわれていない??」


うわ、ずいぶんと唐突だなぁ。

何言っているんだろう、この人は。

私はその女の人を怪訝そうに見た。


「悪いことから逃れられるんです! ついてきてみませんか?!」


あやしい!

明らかに怪しい!

どっからどうみたって胡散臭いんだよね。

どうにかしてこの女の人から逃げないと......。
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