君の隣で花が散る
でも、その笑顔はたった一瞬で終わってしまった。


「あ~あ」

「なんだよ」

「いや、なんでもない!」


だって、れおの笑顔に思わず見とれていた、なんて口が裂けてもいえないもん。


「あ、れおも洋服買ったの?」

「まあな」

「え、見たーい!」


れおが持っている、さっき私にあげた袋と同じ袋を見ようとする。


「なんかやだ」


れおが袋を手元に寄せ私に中身が見えないようにした。


「えーなんかって何よ~」

「なんとなく」

「お願い!」


そんな頑なに断られると見たくなるじゃん。


「わかったよ......」

「やったーっ!」


私は大きな声を出して喜んだ。


「うるさい」

「じゃあ静かに喜ぶ」

「そうしてくれ」


今度は声は出さず、その場で飛び跳ねた。


「それもだめだ」

「え~」

「もう見せないぞ」

「だめだめ! それはだめ」


慌てて姿勢を正す。


「じゃあ騒ぐな」

「は~い」
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