君の隣で花が散る
れおの買った洋服は黒いスキニーパンツにミリタリージャケット、アメリカっぽい街の夜景がモノクロにプリントされているTシャツ。

それにシンプルだけどオシャレなネックレスだった。


「うわ、似合いそう」


というか、この整いすぎた顔なら何でも似合うでしょ、多分。

逆に似合わない服がないんじゃないかな。


「大丈夫か、これで」

「うん。十分すぎるくらい」


大きく頷く。


「じゃ、帰るぞ」

「あ、うん」


すたすたと歩き出すれおを慌てて追いかける。


「待って速いよー」

「おまえが遅いんだよ」

「いや、れおが速いんだって」

「違うぞ、おまえが遅いんだ」

「いやいやいや......」



"人と話すこと"


それは普通の人からすると普通のことなのかもしれないけど、私にとってはどこか特別なことだった。

『死に際』が見えない死神のれおとだからできること。

それがすごく嬉しかった。

楽しかった。



今日はだいぶ笑ったな。

久しぶりにこんなに笑ったかもしれない。

どれほどの間、私は笑えていなかったのだろう。

笑うことはこんなに楽しいのに。
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