君の隣で花が散る
「お嬢さん、無視しないでよ」


女の人が近づいてくる。


「ねえ、悪いことから逃れ切れるからついて来てって言ってるでしょ?」


その営業スマイルがとても怖かった。


「ねえ」


あれ。

女の人の顔がどんどん歪んでいっているようないるような気がする。


「ちょっと下がってろ」


れおが私の前に立つ。


「なんだろう、いやな感じがする」


女の人が一歩、また一歩と近づいてくる。


「ねぇ、助けてよ!」


え、助ける?

どういうこと?


その時、俯いてた女の人が顔を上げた。


「わっ」


彼女の顔はもう、人とは言いがたいものだった。

真っ赤に充血した目は見開かれ、口は張り裂け、皮膚はただれている。



「ねぇっっっっ!!!」



女の人が叫びながら襲ってきた。


私の記憶はそこで途切れた。
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