君の隣で花が散る
「杏花は悪くない」



れおがまた同じ言葉を口にした。

でも、気持ちが落ち着いた気がした。


誰かに "悪くない" って言われるだけでも少し楽になれる。

そう思えた。


「あれ」


すーっと頬を何かが流れてきた。

ずっと我慢していた涙が溢れ出す。



「救えない命もあるよ」



涙を手の甲で拭う。



「救えない命?」


「ああ。
自分が精一杯の努力をして、それで救えなかったのならそれはしょうがないこととなんだよ」


その"しょうがない" は決して軽い言葉ではなかった。

今まで人の死を見てきた重さがあった。



「そんな簡単に救えるなんて思ったら、それこそ命に重さをわかっていないんじゃないか」


れおが息を吐く。



「救えないとか救えるとかの問題じゃなくて救おうと努力したかが大事だと思う」



命の終わりを見て、人の悲しみや後悔、妬み恨みまで見てきたれおの紡ぎだす言葉は、私の心の中に広がっていった。
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