bajo la luz de la luna
「……何?」

「先に出るんじゃねぇ。ドアを開けた瞬間に弾丸でも飛んできたらどうするんだ。」



 強い口調が、振り返った時に群の方へ向いたアタシの耳に響く。自分が先に出るから待っていろ、ということだろう。

 肩越しに感じる彼の気配はピリピリしている。鋭い視線で辺りをぐるりと見回し、「誰か居るな……」と、ボソリ。アタシの脳もそう訴えていたから、思わず頷く。



「気配は何となくするが、姿が見えねぇ。少しは“出来る”奴らしいな。」

「ええ……とりあえずここから出ないと。みんなに帰ってきたことを伝えなきゃ。」

「あぁ、分かってる。」



 短く答え、群は運転席がある左側のドアから外に出る。そして、アタシが居る右側へ素早く回り込み、見えない敵から守るようにドアを開けてくれた。

 小さく「ありがとう」と告げ、用心しながら車を降りる。差し出された手を掴もうとした時――背後から聞こえた銃声に、二人揃って身をよじった。



「来やがったか……」



 怒りの籠った群の声。直後、強く体を引き寄せられた。アタシの頭には“ある一つの疑問”が浮かぶ。間もなく、弾丸が飛んできた方向から人影が姿を現した。
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