bajo la luz de la luna
 アタシが白い目で見ていることに気付いたのか、みんな慌てて口をつぐんだ。そんなに眼力が出ていたのだろうか。仕方ないのよ、これは生まれつきなんだから。



『……ていうか、クレオって変人ボスが居る所じゃない。グレイ、銃で脅して今日のことをナシにしてくれたら良かったのに。』

『無茶言うなよボス!同じスペイン語圏だし、一応話だけでも聞いてやるのが無難かと思ったんだよ。
断りたかったんだが、それはオレが口出しすることじゃねぇ。決定権はボスにあるんだからな。』



 一つに束ねた長い銀髪を払いながら言う、グレイの意見はもっともだ。あのクレオファミリーといえば暴虐な現ボスで色々と有名だから、どのファミリーとも同盟を組んでもらえていない。以前は穏健派の優しい人がボスだったようだが、頭の交代と共に時代も変わってしまった。

 しかも運の悪いことに、アタシはそのクレオのボスに気に入られて求婚され続けている。こちらに婚約者が居てもお構いなしというアイツの人間性は、流石のアタシも気に食わないのよね。

 間もなく車はいつもの店、“mirai”に到着。アタシ達黒づくめならぬ“灰霞”ご一行の一部は、車を降りて店内へと足を進めた。
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