道の果て・・
「奈津は元気なのか?」
奈津のことを1番に考えてくれてた
ことがとてもうれしかった。

私が元気よと答えると
彼は懐かしそうに目を細めながら
大きくなったんだろうなぁと
つぶやいた。

私の心が震えていた。
彼の声が瞳がすべてが愛しくて
震えが止まらなかった。

愛しくてあふれ出てしまいそうな
気持ちを必死で抑えた。

そして私は聞きたいが知りたくない
そんな複雑な質問をした。

「なつ・・渡辺君は結婚は?」
夏生と呼ぼうか悩んだが
声にならなかった。

夏生は恥ずかしそうに微笑んで
「俺はもぅ・・・」
そう言って口ごもった。
そして意を決したようで
「してないよ」
と答えた。

俺はもぅ・・・の後の
言葉は私にはわかった。

俺はもぅ結婚なんて考えられないって
言葉だと思う。
私のせいで、結婚しなかったのだと
わかった。
結婚の約束をしていたのに
逃げた私のせいだと。

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