道の果て・・
「和津は?」
そう彼は続けた。

「ふふ、私もまだしてないわ」
私は極力、普通に答えたつもりだった。
でも、彼はさっきの私のような
表情を浮かべた。

切なさで息苦しいほどだったのに
その場から離れることが
できなかった。

同窓会の開始を告げる放送が
聞こえてきたが、私達は会場へと
向かうことができなかった。

そして、2人できれいに手入れされた
ホテルの庭を散歩することにした。

「和津は相変わらずだな」
彼は前を向いたままそう言った。

どういう意味なのか分からずに
答えに困っていると
「和津は相変わらず、きれいだなって
 こと」
そう言って、少し微笑んだ。
顔を赤くしながら。

「夏生も変わってないわよ」
私はそう言った。
彼はもぅおやじだってと笑った。

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