王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない
暴動は、お城の正門前で起こっているらしい。
人数はそこまでじゃないし、今、兵士たちが鎮圧のため話を聞いているから時間が経てば収まるだろうってジュリアさんは言うけれど。
それを、そうですかと聞き入れるのはあまりに無責任な気がした。
原因は私なのに、なぜそれをグランツ王国の、テネーブル王国のために力を貸してくれた人たちがまた請け負わなければならないのだろう。
ここに連れてくるよう命じたシド王子の責任と言われても、だからと言って私に責任がないとは思えなかった。
シオンさんは〝無事解決する〟って言ってたけど、どうやって?
武力や権力にものを言わせないこの国で、どうやって暴動を収めるんだろう。
色々と考えることはたくさんあって、それが頭のなかをグルグルと回るけれど……これからどうするかの覚悟だけは、既に決まっていた。
さっき、シオンさんの瞳の話をしたときに。
私は、捕らわれたはずのこの国で、たくさんのものをもらったから……シオンさんから、溢れるほどの感動や感情をもらったから。
このグランツ王国に、これ以上迷惑はかけたくない。
これは、テネーブル王国の問題事で……責任をとれる王族は、私だけだ。
私が姿を現して、そこで責任をとれば……この暴動は一瞬で収まる。
ただ、問題は、どうやって外まで行くかだ。