久遠の絆
(そう、それはシェイルナータさまも仰っていた)


そのために彼女の許を旅立ったのだから。


しかし一度は奮い立たせた気持ちも、あいつがいると思っただけであんなに萎えてしまうのだ。


(はあ……まだまだだなあ)


前向きになれたかと思えば、また後戻り。


その繰り返しばかりで、自分は全く成長出来ていないと思う。


(お前は、何も教えてくれないんだね)


この石はなんなんだろう。


いったいどんな力があると言うのか。


(本当に情報が少ないんだよ)


まだ見られているという感覚はある。


ともすればまた恐怖に苛まれそうだった。


でもこの石を見ていると、自然に気持ちが落ち着いてくる。


これがこの意志の持つ力のひとつなら、そうなのかもしれないと蘭は思った。










物思いに耽っていると、突然シャーっという音がした。


はっとして顔を上げると、自動ドアが開いていた。


そこから廊下の黒と同化した人が入ってきた。


蘭は指輪を嵌めた胸に押し当てながら後ずさった。


漆黒の瞳が彼女を捉える。


それは吸い込まれそうなほどの闇を湛えた瞳だった。



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