久遠の絆
しかしその瞳はひとつだけ。
片方は眼帯に覆われている。
そうそれは、シド・フォーンに寄り添うようにして立っていた、あの隻眼の男だったのだ。
仕える人のそれよりも、まだ濃い闇を宿しているように見えた。
「ご不便はありませんか?」
感情のない、淡々とした低い声だった。
不便も何もない。
この部屋には机や椅子などなく、蘭はずっと床に座っていたのだから。
船に乗ってすぐに下等兵に引き渡された彼女は、かなりぞんざいに扱われながらこの部屋に連れて来られた。
放り出されるように部屋に入ってすぐ、蘭は真っ黒い部屋に足がすくんでしまった。
(なんでこんなに黒いの)
この部屋に、小さいながら窓があっただけましだった。
でなければ、蘭は暗闇の中で発狂していたかもしれなかった。
明かりがあるだけで、外を見ることが出来るだけで、人は気持ちを正常に保っていられる。
だから蘭はずっと窓の側にいた。
今はもう誰かに見られているような感覚はないけれど、かわりにこの隻眼の人の目が怖い。
人を射るような鋭さがあった。
問いにいっこうに答えようとしない蘭のことを気にする風でもなく、彼は部屋を見渡すと、
「夕刻までには本国に着きますので、このままでも構いませんね?」
それは確認ではなく、決定だった。
やはり蘭の意思などまるで無視だ。
「ほん……ごくって……?」
蘭はかすれる声を懸命に押し出した。
片方は眼帯に覆われている。
そうそれは、シド・フォーンに寄り添うようにして立っていた、あの隻眼の男だったのだ。
仕える人のそれよりも、まだ濃い闇を宿しているように見えた。
「ご不便はありませんか?」
感情のない、淡々とした低い声だった。
不便も何もない。
この部屋には机や椅子などなく、蘭はずっと床に座っていたのだから。
船に乗ってすぐに下等兵に引き渡された彼女は、かなりぞんざいに扱われながらこの部屋に連れて来られた。
放り出されるように部屋に入ってすぐ、蘭は真っ黒い部屋に足がすくんでしまった。
(なんでこんなに黒いの)
この部屋に、小さいながら窓があっただけましだった。
でなければ、蘭は暗闇の中で発狂していたかもしれなかった。
明かりがあるだけで、外を見ることが出来るだけで、人は気持ちを正常に保っていられる。
だから蘭はずっと窓の側にいた。
今はもう誰かに見られているような感覚はないけれど、かわりにこの隻眼の人の目が怖い。
人を射るような鋭さがあった。
問いにいっこうに答えようとしない蘭のことを気にする風でもなく、彼は部屋を見渡すと、
「夕刻までには本国に着きますので、このままでも構いませんね?」
それは確認ではなく、決定だった。
やはり蘭の意思などまるで無視だ。
「ほん……ごくって……?」
蘭はかすれる声を懸命に押し出した。