久遠の絆
「中将」


その時カイルの声音が変わった。


何か胸に重く圧し掛かるものを吐き出す時のような、そんな声だった。


「なんだ?」


そんなカイルの様子に、熊は首を傾げている。


「あなたにこんなことを言えば、怒られるかもしれませんが……」


「なんだよ。カイルっちらしくねえ。はっきり言えよ」


「……いよいよになれば、停戦を求めるしかないと思うのです」


「!!」


熊の顔が一気に険しくなった。


「それは……本当に最終手段だぜ。カイル」


その声には明らかに怒気が含まれていた。


「ええ、だが、決断しなければならない時は必ず来る」


はっきり言い切るカイルの顔を、何か言いたげに見つめる熊。


ややして深い溜息をつくと、

「まあ、なんだな。お前さんもいろいろ思うところはあるんだろうし。
これ以上は俺がとやかく言うべき領域じゃねえや。
あんたがどんな決断を下そうと、俺はそれに従うだけさ。……とりあえずは、そうならないように、せいぜいここで食い止めとくよ」


そして大きな口を開けて笑った。


この人にどれだけ支えられているだろうと、カイルは思う。


この人がいなければ、自分は早々にくじけていたかもしれないとも思う。


どこかで彼に甘えている部分がある。


カイルはそれを分かっていた。


「陛下は何と仰ってるんだ?」


「……陛下も、私の意見に賛成して下さっています」


「命を……捨てる覚悟だってことか……。
そうはさせねえ、絶対にな。お前さんの命も、陛下の命も、全部俺が守ってやる」


「グレン中将」

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