久遠の絆
戦闘艇の腹が、木々のてっぺんをこすっている。


大分下に降りてきたのだ。


あとは不時着できる、広いスペースがあればいいんだが……。


するとパッと視界が開けた。


そこには川が流れていた。


その下流の方へ進むうち、ニアスの乗った『アザゼル』はゆっくりと降下して行き、やがて水を跳ね上げながら川を滑り停止した。


「ふ~~~」


長く息をついてから、コックピットから出たニアスは、よろけて川に転がり落ちてしまった。



バシャンッ



「冷たっ」


思い切り川の水を被ってしまった。


「ああ、僕、何してるんだろ……」


絶対、叱られるんだ。


ぼろぼろになった小型戦闘艇。


それは帝国の誇る最新鋭の戦闘機だった。


それをこんなにしてしまったのだ。


責を免れることは出来ないだろう。


(その辺は割り切っちゃうんだろうなあ、カイルさま)


そんな時の甘えを許すことはない人だ。


ともすれば普通より厳しい処罰が下されるかもしれない。


気が重くなってくるのをどうすることも出来ず、ニアスは現実から目を逸らすかのよう
に『アザゼル』から視線を外した。




そして、その目に映ったものは……。


いまだ戦火の痕も生々しい、小さな集落であった。



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